ハスラーを買って1ヶ月経ったのでその話

ponkotuy.hatenablog.jp

という記事を書いて、納車されたのが6月上旬。1ヶ月色々走りまわって実際どう思ってるか、という話は追記であってもいいかなあと思ったので書きます。

走行実績

大きな遠征としては、松戸市内の他は、静岡の奥大井行ったのと、大阪行ったのがあります。

静岡の奥大井は、高速道路はそこそこにひたすら離合困難な山道を走り続けるというもので、車買って初手に突っ込むにはあまりにも過酷でした。反省しています。次は長距離ライドしようと思ってたら新幹線で取ってたと思ってた大阪遠征が、いつのまにかJR東海ツアーズの不親切によりキャンセルされてて、車で行ったれや!となり車で行きました。距離の8割は高速道路ですが、若干の山道もあります(奥大井に比べたら大した距離ではないですが)

ガソリンタンク

現状最大の不満はこれです。ハスラーの燃料タンクは27Lなんですが、4WDターボの燃費の悪さとあいまって、若干自由度に制約があります。余裕を見ると大体走行距離は500kmで、大阪まで無給油はほぼ不可能なので、計画的に給油する必要があります。

はじめての車で、レンタカーだと燃料が半分まで減ることはまずなかったので全然意識したことなかったんですが、燃料の余裕は「足元見たガソリンスタンドに依存しなくていい」という余裕に直結するため、最終的な燃料費にそれなりに影響してきます。それはつまり高速道路内のガソリンスタンド(想像以上に高かった)に依存しなくていいということを示しています。また、そもそも奥大井とかだとガソリンスタンドが土日だと全滅しているため、町まで出る必要があるなどで時間制約に影響がでかいです。

というか車買うまで知らなかったんですけど、高速道路のガソリンスタンドがドチャクソ高いのもそうなんですけど、燃料価格って地域とかでもかなり差があって、大体ガソリンスタンドの値段知り尽くしてる競争が激しい地元で入れた方が価格面で有利なんですね。そうすると旅先往復ぐらい燃料タンクに余裕があるといいですね、とかなってタンクの優先度はそれなりに高くなります。

山道走行

奥大井で2-4時間ぐらい連続で山道走行することになったけど、ハンドルシフトがとても便利で、エンブレかけやすいのは本当にアドですね。車両も小さいし最低車高も高めで底を擦るようなこともなく、不満は全くないですね。この点でハスラーはかなり上位に来るんじゃないかな。1度だけサイドミラーをぶつけてミラーが曲がってびっくりしたけど、手で押したら直ったし表面もコーティングが剥げてるぐらいで思ったより大したことなかった。衝撃逃がす構造になってるぽいですね。

高速走行

軽で高速道路つらくない? は思ったよりそうでもなく、事故ったとき怖いは多分真だけど事故ってないのでわからず。ただ1つ、新東名で120km/h走行したときに尋常じゃなく燃費が悪化したと思しき事案があり、東京から120km/hで飛ばしてたら名古屋で燃料が尽きて本当にビビるという事態がありました。タンクの小ささとあいまってこの点は厳しいんですけど、高速道路料金がそもそも軽だと安いし収支的にはトントンよりプラス寄りだと思うのでなんともいえないですね…。急ぎでない限り高速道路は100km/hで運転することにしてます。

オートクルーズも正直微妙で、個人的に運転負荷が高いのハンドルなので、加速自動になってもなあみたいなのはちょっとありますね。あと割とアホなので追い越し車線とか3車線の真ん中車線みたいな、入れ替わりの激しいレーンを走行してて使うと、空気読まずちょっと危ないなあと思うときが結構ありましたね。人間と自動運転の切り替えも意外に面倒くさいので思ったほど便利ではないというのが正直なところですね…。

松戸市

松戸市内って人間が活動している間はほぼ常時渋滞してるんですよね。車乗って買い物とかかなり苦行に感じられていて、正直なところあんま出たくないですね…ただ業務用スーパーはやはり便利なので常用しています。あとコメダよく行く。

走行距離

今んとこ大体2000kmちょいなんですが、6月は原稿の執筆があってあまりお出かけしてない月だったので、正直年1万キロは普通に越えそう、って気持ちでいます。年1万キロなら燃費より車の方が高い、という想定で燃費あまり考慮してないので、次に車買うなら燃費の優先度が上がりそうですね。

まとめ

とまあ色々思うところはあるんですが、やはり自家用車いいですね。市内は思ったよりつらかったのであんま使わないと思いますが、すいてる道路走るのは思ったより楽しい。最低3年は使い倒して、また次考えようかなあという感じです。

ハスラーを買うに至る車種選びの話

カメラのオタクが遠征用途に車を探した結果として、スズキの軽自動車ハスラーを新車で買うことにしたんですが、その経緯を他人に説明するときに長くなるので纏めたやつです。

とりあえず必須の要件だったのは、

  • 離合困難な細い山道を走れること
  • 新東名で120km/h出せること
  • 乗車定員が4人以上であること

の3点で、特に横幅はかなりシビアに見てたので、実質軽か5ナンバーかウッカリ3ナンバーになっちゃった、ぐらいの車で探していた感じです(この点は多分そんなにブレてない筈

軽は不十分ではないのか

殆どの人間に言われたのがコレで「軽で高速道路走るのむずくない?」ってやつです。これはあまりにも多くの人間が主張していたので、最後まで軽にするか悩んでいたところはあるんですが(というより軽じゃない選択肢の方が可能性高かった)、最終的に自分の仮説に殉じることにしました。

殉じた仮説というのは2つあって、「現代車のエンジンは不必要にでかい」「現代車の8割は見栄消費である」というやつです。順番に見ていきましょう。

現代車のエンジンは不必要にでかい

アッ石を投げないで! 一応こう思ってる根拠があるんです。軽自動車のデメリットとして殆どの人間が「エンジンが弱い」を挙げるんですが、大体こう続くんですよ、「普通車の方がエンジン静かだし余裕あるよ」。

ぼくはこれを聞く度にこうなるわけです、別にエンジンが唸っていいなら軽で足りるのではーと。

この「現代車のエンジンは不必要にでかい」の9割は「エンジン唸り恐怖症」みたいなものだと思っていて、ぼくの予想では、古くエンジン出力が慢性的に足りなかった時代の、エンジン唸りに対する不満みたいなものがずっと続いているのかなーみたいなのはあるんですが、普段使用で一瞬唸っただけでも「この車びみょー」となるぐらいの恐怖症に現代人は陥っている気がしたんです。もちろん、シンプルに静かな方がいいという話はあるので、この話を聞いた上でエンジン強い車買うのはいいとおもいます。あと燃費のからみもあるかもしれない。あとCVT車でシフトを山道モードにしたときの挙動が実質「エンジン音と燃費優先の制御をやめるモード」みたいな話を聞いた話もあります。

えー、あとそもそもぼくほとんど1人で乗る想定なんですよ、って話もあります。

現代車の8割は見栄消費である

これは言わずもがなだと思っていて、ある程度は納得されるとおもいます。ただぼくは見栄に金を突っ込みたくなかった。

いやこれは全く無視していいとは全然思ってなくて、ご近所付き合いしてても車の車種と状況と更新頻度見れば大体のその個人の資産状況ぐらい容易に想像付くし、これを逆手に取って見栄で高い車買うは分かる。人間だもの。ただ安くてそれなりに走る車欲しいと考えると、見栄要素の強い車は避けるべきとなります。

そうすると、逆に黄色のナンバープレートとかの烙印がある軽は比較的見栄消費成分が少なめな車種が多いので選びやすいとかなります。

当初SUVで考えてたんですけど、結局やめた理由が、人気で納期と中古相場が、って話もあるんですけど、基本的に流行りとか見栄だよね、って話になり、やめました。

とはいえこの「見栄消費したくない」ってやつも、車の個性は本人の個性を色濃く反映される、という文脈でいうと、ある種の消費だとおもいます。ジムニー欲しい〜も割と「見栄消費から外れてるオレかっこいい」みたいな要素と無縁かと言うと全然そんなことないです。理解される気はあんまりしないけど、ぼくは分かる人が分かればいいという主義なので。

最終的にハスラーの新車になった経緯

納期が5末ぐらいまでという厳しい条件があり(1台目なので)、ハスラー試乗してよければ中古市場漁ろうかな、と思っていたんですが、普通にターボ4WDの製造予定車にキャンセルが入ったぽくて、かなりスピード納期で納品してもらえるとのことなので、今まで見た車の中で一番「あるとうれしかった要素」を満たしてたので買うかあ、となりました。(古いとオプションのどれか諦める必要があるかなあと思ってたけど、新車で諦める必要なさそうだったので)

あるとうれしかった要素

  • 坂道下るときにフットブレーキ多用できないのでそのための支援機構(実はハイブリッド車を坂道支援機構と見てたところはある)
  • 長距離ライドが多そうだったのでオートクルーズ系の諸機能
  • 排気量(静かに越したことはないため)(ハイブリッド車ってエンジン2つ付いてるんですよね
  • すごいリッチなわけではないので値段(5年乗って売却してそれなりの値段が付くなら200万、そうじゃないなら100万、とか)
  • 雪国も慣れたら行きたいので4WD
  • 未舗装路が想定にあったので最低地上高

他に候補にあった車

  • Mazda2 ロングライドするなら多分試乗した中で一番良かった
  • トヨタ ヤリス 無難 安い
  • CX-3 納期と値段でナシになったMazda2のSUV
  • トヨタ アクア 古いアクアがあまりにも左足の置く場がないのと、新しいのは比較的高いのがあって一時期候補にあったけど最終的には消えてた
  • スズキ クロスビー 多分ベストだと思うんだけど、軽のハスラーの方が安いとかはある
  • 日産 ノートe-POWER アクセルペダルのフィーリングは最高ですね。でもナビが嫌い過ぎるのと、バッテリーが枯渇すると殆ど坂道を登れなくなる話があってやめました。

試乗した車(レンタカー込み

  • ホンダ N-BOX 軽自動車でどこまで行けるかのテスト用、正直不満なかったけど、高速でトラックの横を通ったときに一瞬ハンドル取られたのはこわかった。軽自動車でぼくが懸念しているのは実はこっち
  • Mazda2 実は試乗する前にレンタカーしてたんだけど、普通に走れたので全く記憶がない
  • ヤリス トヨタレンタカーで安いラインだと大体出てくる。これも普通に走れたので記憶がない
  • Mazda CX-5 ディーゼルテスト用。人生で一番デカい車に乗った、って言ってる。エンジンブレーキの効きが悪かったので、ガソリン車と値段差があるうちは選択しないとおもう。CX-3試乗の布石ではあった
  • ホンダ フィット 駅レンタカーで借りると大体これ。CVTの悪い要素、特にエンブレが弱いが発生しがち。それ以外は不満なかった

燃費の話

たぶんぼくの利用方法だと年1万キロ想定で、ガソリンがリッター150円想定でも年間で10万円の差ぐらいにしかならんだろう、となり、燃費にコストをかける必要がないだろうという結論になりました。(同じ値段、同じ性能なら燃費がいい方を選ぶ、ぐらい

とはいえ小型車市場だと燃費でトヨタ一強なのは揺るがないですね。本当に強いメーカーだ…

見た目の話

ここまで車の話をしていて見た目の話を全くしてないのすごいと思うんですが、正直なところ見た目だけで買うならCX-3のレッドを買っていたとおもいます。トヨタ車は選ばれない。トヨタ車はね、ダサいんじゃなくて、トヨタ車がデファクトになるのでどうやっても陳腐になるんですよ。

おまけ

営業はよくあるユースケースしか想定してないので、こんな面倒くさい客がいることを想定していないため、相談相手はオタクの方が適切でした

交通センサスの解析と可視化

概要

この記事はエムスリー Advent Calendar 2019 - Qiitaの7日目です。エムスリーエンジニアリンググループの山本瑶祐です。 近くの島に山本が3人いて、別の山本が呼ばれたのに反応してしまうのを繰り返してます。

今回は交通センサスの解析して市区町村間の交通流動を解析して日本の市区町村をグルーピングし、GISの仕組みを使って可視化するところまでやったので、その話をします。

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Xiaomiの夢、Panasonicの現実

またはわたしはどのようにしてPanasonicの信者になったか。

はじめに

マイクロフォーサーズPanasonicのGX7MK3を買った話

Panasonic GX7MK3の運用話 - ponkotuyのブログ

の続きです。Xiaomi YI A1を買って色々運用した話とその後について話をします。

Xiaomi YI A1

というわけでXiaomi YI A1のレンズセットを2万円ちょいで買いました。

ぶっちゃけ本体欲しかっただけなので安い方のレンズセットを買いましたが、実際レンズはゴミで

LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm | 交換レンズ | デジタルカメラ LUMIX(ルミックス) | Panasonic

スペック的にこれに勝てる要素は何1つ無かった気がします。手動でロック解除して回さないといけない時点であまり真面目に試す気にはなってないですが。

本体はまず滅茶苦茶軽いです。GX7MK3とかまあ軽い方なんですが、その半分ぐらいなんで相当です。画質的にも及第点付けられるとおもいます。CCDまわりがPanasonicの旧モデルと同じという話は多分本当です。あとソフトウェアまわりの出来がよいのは間違いなくて、初物に負けるジャパニーズトラディショナルビッグカンパニーまじなんなん。ただ機能的には自動転送機能ないので、スマホ側で転送する画像選ぶ必要があります。まぁ失敗画像パスできるとか連写で1枚選ぶとかもできるので、ここらへんは人による。あとmicroUSBで充電しながら写真撮れる。寧ろこれなんでPanasonicできないんだ。

コスパは間違いなく最強で、マイクロフォーサーズのレンズ持ってる各位はとりあえず安いしレンズ1本増やすつもりで買えばいいとおもいます。

勿論欠点も多いんですよ。

  • MFのアシスト機能が皆無
  • AFがマジでショボい(1点しか測距してないとおもう
  • デジタルズーム無い(個人的にマジで痛い
  • ダイアル少ないのでマニュアル撮影が不便過ぎる
  • ファインダーが無い上に液晶が粗過ぎてピントが合ったか分からない

でも欠点見て「便利ズームみたいなレンズで撮る分にはあまりこまらんのでは?」って思った人は大変正しい。実際3ヶ月ぐらいこれで運用してたんですよ。主に先程出てきた14-42mmのパンケーキレンズを使ってたんです。ただ、よくよく写真統計取ってみると14mmが8割なんですね。実はズーム要らねーんじゃね、ってなって

デジタル一眼カメラ用交換レンズ H-H020 商品概要 | ムービー/カメラ | Panasonic

中古で20mm F1.7のレンズを前買ってたのでこれ持ち歩いてみたら、明るいレンズが割と使いやすいかも?ってなってきたんですよね。夜とか暗いところとかボカしたいとか。

ただこのレンズ固有の問題としてAF遅いってのが割と有名だったりしたんですよ。多分コストと薄さを優先した都合で。それ故に安いことも分かっていたので当初は不満なかったんですが、AFが遅くて撮り逃しが発生したのを契機に、投資して似たような方向のレンズ本格的に買うかーってなったわけです。

LEICA 15mm F1.7

LEICA DG SUMMILUX 15mm | 交換レンズ | デジタルカメラ LUMIX(ルミックス) | Panasonic

というので買ったレンズがコレです。Twitterで同じの買ってる人いたし、広角寄りの単焦点レンズとして、見たまんまの画角でスナップできるので、そういう用途でウケてる気がする。ぼくも20mmが微妙に狭いので同じ思想で買ったんですが。

結論から言ってこれは良い買い物でした。ぶっちゃけ最近これしか使ってないぐらいです。でもこのレンズ、買ってすぐにXiaomiのカメラじゃ無理ってなりました。F1.7だとAF合わないんですよ。MFの運用があきらかに無理なのも分かっていたので、このレンズ使うためにすっぱりXiaomiのメイン運用は諦めました。

たださっきいった「便利ズームなら困らんのでは?」というのがあったので、どうしたかというと、撮影メインの旅に行くときにサブ用途としてOlympusの40-150mmを挿して使うことにしてます。

交換レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R | 交換レンズ M.ZUIKO | オリンパス

換算300mmのレンズが中古で1万円台で買えるのはマイクロフォーサーズ最大のウリですね。ほんとはOlympusのF4通し12-100mmのレンズが欲しいんですが、まぁ高いので…。

余談なんですが、Panasonicの自動転送がアホみたいに不安定な件は、電源を落とした状態にしなければ多少改善されることがわかったので、前ほどキレそう〜みたいなことは少なくなってます。まぁたまに失敗して再起動しないといけなくなるけどな!

投票制度と民意の反映

またはオタクが山田太郎を当選させて有頂天になってる話

前提知識

民主主義対民主主義という本があり、この知識を前提に進める。

https://www.amazon.co.jp/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E5%AF%BE%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E5%8E%9F%E8%91%97%E7%AC%AC2%E7%89%88-%E5%A4%9A%E6%95%B0%E6%B1%BA%E5%9E%8B%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%B9%E5%9E%8B%E3%81%AE36%E3%82%AB%E5%9B%BD%E6%AF%94%E8%BC%83%E7%A0%94%E7%A9%B6-%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%97%E3%83%8F%E3%83%AB%E3%83%88/dp/432630233X

内容としては、民主主義国家の制度を比較して、民意を政治に反映させるにあたり、どの制度が優れているのか、について比較検討している。

結論の1つとして、二大政党制よりも多党制の方がよりきめこまやかに少数意見などの民意を反映させやすく、民主主義としては優れている、というのがある。この結論を前提に投票制度の善し悪しについて述べる。

小選挙区

小規模の選挙区から1人のみを投票で選出する選挙制度小選挙区制と言う。そしてこの選挙制度は二大政党制にとって大変都合の良い選挙制度である。ある選挙区で何人の立候補者が出ようとも当選するするのは1人しかいないため、現職(多くの場合は与党であり、最有力候補である)とその対抗馬として野党の有力な候補を1人出馬させての一騎打ちしか、挑戦側には選択肢が無い。一方で、そのように野党側候補者が統一できた上で拮抗している場合、すなわちよく二大政党制が機能している場合、数少ない票数差で勝つことができる。このとき、全体としては少数の票が移動しただけでも当選者の比が逆転して大きな差が付く可能性がある。

一方で有権者側からすると票に乗せられる民意は乏しい。小選挙区で選べるのは(多くの場合現職の)最有力候補に投票するか、それが気に入らないなら2番手に投票するしかない。3番手以降に投票するのは事実上棄権と同じことだからだ。つまり2つからマシな方を選ぶのが小選挙区制でできる唯一の行動であり、そこにマイノリティの意見を乗せる余地はない。

中選挙区制

比較的広い選挙区から3-5人を投票で選出する選挙制度である。この制度になると与党が1-2人、有力野党が1人の他に、末席に議員をねじ込める中小政党が出てきて、面々としてはかなりバラエティ豊かになる。有力政党があまりに欲張って立候補者を増やしてしまうと、支持者の票を分け合って全員落選するリスクが生じるため、トップ当選が確実視されていても候補者を増やすのが難しいことがあるからである。

有権者からすると10-20%程度の少数派意見でも集約できれば、末席に当選者を送り込む余地が出てくるので、小選挙区よりもかなり選択肢の幅が広がる。野党を比較検討し、より優れた野党を選択することもできる。また、与党支持者にしてもより良い候補を選ぶ余地があるかもしれない。与党内でも票数に差を付けることができれば、結果的に気に入らない候補を外す圧力として機能するかもしれないからである。

比例代表制(拘束名簿式)

(多くの場合)全国区で政党に対しての投票を行う選挙制度である。今まで出てきた選挙制度でむずかしかった、地域に立脚しないマイノリティの意見を拾うことができるようになる。理論的には議席が100あれば1%の得票で政党は当選者を送り込むことができる。

ただし、この制度は愚直に適用すると小政党が乱立することになる。あまりにも小政党が乱立し過ぎることは一般に良くないとされており、最低得票率に到達しないと議席が配分されない、阻止条項を持つ国も多い。例えばドイツの阻止条項は5%である。この場合、マイノリティへの対応能力は阻止条項の障壁の高さに応じて下がる。

有権者としては死票が出にくい制度であるので、自分の考えに最も近い党へ投票すればよく、シンプルではある。一方で人を選ぶことができる制度ではないので、党の名簿の順序に当選者が依存することになる。このため党に政治家個人の思想が反映されずらくなったり、特定の候補者を落とすなどの戦略的な投票はしづらくなる。

このように欠点も多いので比例代表単体で運用されることは少なく、小選挙区制との併用であったりすることが多い。

非拘束名簿式比例代表制

比例代表の欠点であった「人が選べない」という欠点を解消した比例代表制。党の名簿を有権者が作ることができるという点で投票に反映できる民意の幅は広がる。例え一党独裁であったとしても党内の順位が民意によって決まるため、一党独裁下の民主主義というなんかよくわかないものすら実現できる。当落線上の候補における1票の価値がかなり高いので戦略的な投票もかなり有効である。あんま良く分かってない有権者もとりあえず党名書いておけばいい。

ちなみに前述の本はこの制度ができる前に書かれた論文がベースで記述が無いので、ぼくの独断と偏見しか書いてない。

日本特有の話

日本特有の話としては、長きにわたって自民党が与党であった都合で、政権を担当する能力を野党が保持していない点と、自民党内派閥が擬似的に政党として多様性を担保していた一方で、派閥が解消されて多様性を喪失しつつある点が挙げられる。前者は二大政党制への移行が、自民党の分裂でもない限り困難であることを示し、後者は現状一党独裁への危険を孕んでいることを示している。

従って民意として「自民党が与党であることは肯定的ではあるが、その力を制限したい」「どの自民党候補を当選させるかを選びたい」というのが投票・民意反映の中心行動となる。前者は野党第一党に対する無条件のボーナス投票になる。後者は今まで限定的で殆ど介入は不可能だったのだが、非拘束名簿式比例代表制はこれを実現可能にする。

結論

非拘束名簿式比例代表制は民意を政治に反映する最良の選挙方式であり、このとき候補者の名前を書く一票は、他のどのような選挙制度よりも効果が大きな一票である。選挙で山田太郎を当選させた人はそれを一番よく分かっている筈だ。

Panasonic GX7MK3の運用話

GX7MK3とは

Panasonicが2019年の1月頃に出したミラーレス一眼のカメラで、他の機種に漏れずマイクロフォーサーズマウントです。出してる中では比較的小型な入門機的な位置付けで、他社の小型なやつとの違いとしては、ダイヤルが必要十分についてるというのが大きな特徴です。重要なこととして、WiFiBluetoothをどちらも搭載してます。残りのカメラ的スペックはググれ。

そして今回はbluetooth機能に偏ったレビューをします。というのも、GX7MK3を買った理由の殆どがbluetooth機能への期待だからです。

なぜbluetooth機能に期待をしているのか

2016年までの状況が同じくPanasonicのCM10を買ったときに概ね書いてるんですが

AndroidカメラDMC-CM10 - ponkotuyのブログ

とにかく旅行先で撮影した写真を早くTwitterに上げたい、というのがぼくがずっと求めていることで、それが満足されないので5台ぐらいカメラを買ってるわけです。

CM10というAndroidカメラを買った結論としては、ズームが無いのが致命的過ぎてつらいという話で終わっているんですが、実際Androidという陳腐化が早い環境でCM10に後継機種が出なかったのが致命的過ぎてAndroid搭載カメラという方向性はボツになっています。

んでその後に出た解決策が実は「microUSBでスマホに繋いで転送する」というもので、これとCASIO EX-ZR1600を繋いだら、そこそこうまいぐあいに運用できたので満足してたわけです。

満足していたんですが、ミラーレス一眼を店頭で見たとき「こんな小さいのかしゅごい!」ってなって、ZR1600からミラーレス一眼に移行しようと友達(レンズ沼)に相談した結果、LUMIX GX7が中古で異常に安かったのでそのまま購入したわけです。

さて、LUMIX GX7なんですが、レンズ交換できて素早くF値とかSSとかが弄れるカメラは撮影可能な範囲も広がって楽しい!ってなって順調に沼っていったわけですが、じつはGX7はZR1600で使えたmicroUSBケーブルが使えなくて、Twitterに早く上げるという点ではZR1600の劣化版でしかなく、あるときからGX7を持ち歩くのが億劫になってカメラなんてもうスマホでいいやぐらいの境地に到達していました。

というので、揃えたマイクロフォーサーズのレンズもカビだらけになろうかというときにGX7MK3でbluetoothが搭載されたと聞き、2週間ぐらい悩んだ上に購入を決意します。

本題

まずGX7MK3のbluetooth機能ですが、概ねWiFiの立ち上げにしか使いません。つまり実際の転送はWiFiです。これはおおむね失敗したと判断されているZR1600と同じ仕様です。重要な違いは「自動転送機能」が追加されたことです。どういうものかというと、撮影したらユーザがなんもアクションしなくてもBluetoothで調整を行ってスマホに落としておいてくれるというものです。これが店頭で試した結果として満足がいく結果がでたので購入にいたっています(なお試し終わって満足しているときに店員さんに近付かれて怖くなって逃げる程度にコミュ障)

一応GX7MK3にはスマホから繋ぎにいって個別にファイルを落としに行くモードがあるのですが、カメラとスマホ両方持ってにらめっことか死ぬほど面倒なので却下しました。

さて、買って早速家で試してみた結果、Android機ではGX7MK3のWiFi系機能が実用に耐えないことが分かります。ぼくが試した固体の問題かもしれないんですが、インターネット接続が無いWiFiに繋ぎに行くとそのWiFiAndroidが強制的に切断してしまい、Panasonicのアプリが異常を返して終了してしまうという挙動をしたためです。多分省電力系の機能なんですが、その先にインターネット接続のないGX7MK3を繋ぐと当然死にます。Androidはこういうところがだめ。

というのでサブ機で使ってたiPhone SE2に出ばってもらったんですが、概ね良好な結果を示しました。ただしiOSの場合、アプリ単体でWiFiの接続を追加する権限がないようで、同期を開始する際にアプリ起動して1タップする必要があります。これぐらいまではギリギリ許容範囲かなーというのでiPhone前提で運用を開始します。

運用中に出てきた問題諸々

それでなんら問題なく運用できてればこんな記事書かずにTwitterで「時代はbluetooth!GX7MK3!」とか言ってればよかったんですが、割とめんどうな問題がいくつかあります

そも不安定

結構な枚数を転送中によく死にます。おおむね5枚送ったらほぼ100%死にます。死んだらアプリとカメラの再起動が必要です。いまのところこれを回避する方法は見つかってません。クソ。

このモード中は転送終わらないと電源切れない

このモード中は電源切っても送信待機状態になって、全部転送終わらないとカメラの電源が切れないです。カメラの電源切ったら、iPhoneをいじってちゃんと転送開始されるのを確認して…まじか。めんどうくさくね。一応カメラ側の操作で強制的に電源切れますが結構面倒くさいです。忘れると、気付いたときにはカメラの電池が半分になってます。

失敗写真の転送キャンセルできない

撮るのに失敗した写真の転送前に消すとかできないです。つまりこの自動転送モード中は、割とめんどうな転送作業した上でカメラとスマホ両方から画像消さないといけないです。

バッテリー問題

自動転送、薄々感付いてるようにバッテリーが猛烈に減ります。GX7でWiFiフル活用してた時代からそんなにバッテリー長く持たなかったんですが、自動転送は更にやばいです。その上でさっき言った転送待ちを忘れて放置していると無駄に消費します。

という猛烈にバッテリーが減る機能を搭載したGX7MK3が当然大容量バッテリーを積んで…いればそこまで困らんかったんですが、まさかのGX7と互換のバッテリー(1025mAh)しか積んでおらず、たぶんPanasonic社内にGX7MK3のbluetooth機能を使ってる人間はおらんのでしょう、という感じです。

なので、おおむね100枚ぐらい撮影したらバッテリーが枯渇するぐらいの気持ちで運用していて、バッテリー3つ持ち歩いてます。なお、3つは「1日分」で、遠征では当然ホテルで3つ全部充電することが前提の運用です。

microUSB充電

GX7→GX7MK3から移行した勢からすると待望のmicroUSB充電(MK2からあった)なんですが、というか「2019年1月発売でUSB TypeCじゃなくてmicroUSB」というのがまずレガシー過ぎてやばい(こいつのためにmicroUSBケーブルの持ち運び復活せざるを得なかった)んですが、それより致命的なのはカメラ起動中にバッテリー充電できない、ってやつで、というかそれができるならバッテリー3つ持ち運ぶ必要なかったんですよね…。

結論

というわけでGX7よりはマシなのでGX7MK3運用してるんですが、2016年のZR1600時代に思った「日本のメーカーのファーム信用できねえ」みたいなのは全くなんら解決もされておらず、やっぱり信用できねえなあというのを再確認しただけに終わったわけです。展示機のテストだけはうまくいってしまったのが悔やまれます。その金でPixel3でも買った方がよかったんじゃねーか。あとGX7MK3、撮影機能まわりはGX7からあんま進歩してないし、GX7が中古で2万円とかえ買えるので、尚更手を出す理由はなさそう。

マイクロフォーサーズのミラーレス一眼という選択そのものは、スナップ写真愛好家的には大変満足度高いんですが…と思っていたら、Xiaomiがマイクロフォーサーズのミラーレス一眼(bluetooth付き)出してると知って衝動買いしたので次回はその話をするかTwitterで「Xiaomi YI A1(のbluetooth機能)はいいぞ」って呟きます

追伸

GX7、沼って表現してるように割とぼくの中でカメラの必要スペックに変化があったやつです。元々CM10を買ったときは割とズーム機能が史上命題で、レンズ交換ができるやつなら当然可能だろうというノリで買ったんですが、最近は単焦点レンズ1つしか持ってかないとかもよくやるので、割とズームどうでもよくなってます。そう思って最近CM10を引っ張り出したんですが普通にお亡くなりになってました厳しい。あとZR1600のmicroUSBケーブルやTransferJetのmicroUSBトングルは、スマホがTypeCに移行した時点で死にました。

エンジニア宗教戦争の本質

※書いたあとに思ったんですが、エンジニアというよりプログラマと書いた方が良かった気がします。全部直すの面倒くさいのでココに書きます

内容

ふとエンジニアがエディタとか言語とか、なんならタブスペースとかの「宗教戦争」に思わず熱くなってしまう理由に納得のいく説明ができるのでは、と思ったので書き始めたものです。宗教戦争に合理的な理由があるのでは、という仮説ですね。

独りプロジェクト

ぼくが所属している組織のうちの1つは比較的小さい会社ながら、若干マイクロサービス的な思想もあり、沢山のプロジェクトを開発保守管理しています。なので1人でガッと作って機能追加も1人でやるぜ、みたいなプロジェクトがちょいちょいあったりします。

ぼくも2つぐらい抱えているのですが、自分独りプロジェクト、すごい気持ちがいいんですよね。具体的に言うと機能追加も猛烈な勢いでできて、複数人で開発してるプロジェクトより生産効率めちゃくちゃいいんですよ。

勿論俗人化という致命的な欠点があり、仕事のプロジェクトでそんな状態をずっと放置しておくわけにもいかないので、一時的な生産性低下を覚悟の上で引き継いだり複数人プロジェクトに移行するわけですが。

ただこの生産性向上を複数人で擬似的に発生させる方法があります。宗教です。

宗教

複数人の開発でも独りプロジェクトと同じ効果を発揮させるには、キツいルールで縛り、そのルールの信奉者でグループを作るという方法が1つ思い付きます。つまりこのルールを体系化したものが、このblogで言う「宗教」の定義とします。

ぼくがWebエンジニアなので、大分Webに偏った話として、以下のようなものが思い付きます。

これ、なんか言語やWebFrameworkと密接に結び付いてる気がしませんか。こうやって言語やWebFrameworkの宗教戦争が起こるのだ、ということに説明できる気がしませんか。

宗教戦争のカラク

つまりこういうことです。同じ宗教の人間で開発プロジェクトを固めると大変開発効率が良くなります。しかし、多くの場合宗教には別の宗教に比べて際だって強い点はありません。どの宗教もなんやかんや言って開発できるので一定の勢力を保っていると思われます。(分野の違いによって強さが変わるとかもあると思います)自分の宗派が強くなればそれだけ自分の転職可能性も上がりますし、自分の開発効率が相対的に上がるとも言えます。

特に言語は開発スタイルを伴っていることが多く、宗教戦争の火種になりやすいと言えます。エディタも最近は半ば冗談で語られることが多いですが、エディタを制限する職場もちょいちょいあると聞くので馬鹿にはできないと思います。そもIDEと非IDEで効率的なコードは若干異なるという話もあります。あとC++のようにコミュニティが大きく、言語があまり開発スタイルを強制しないために差がでかいところだと、エディタという宗教の流派みたいなので差が付くという話もあるかもしれません。

宗教という言葉について

エンジニアの宗教戦争に合理的な理由が付与されてしまった以上、宗教という言葉は相応しくないのでは、という言説もあると思うので補足ですが、宗教が合理的でないという発想が間違っているという主張はしたいと思います。宗教は一見非合理性の塊とも言えますが、歴史的な研究からは宗教が果たした重要な役割について、所謂理系人間は軽視し過ぎていると考えています。Civilizationというゲームでは、宗教から多くの場合、都市の幸福度にプラス補正が入ったりと様々な役割を与えられています。(勿論負の側面もありますが)まさにエンジニアのそれを「宗教」と呼ぶのが相応しいと思いませんか?